為替市場は一方的な日本円売りが今も続いています。これは世界の潮流が利上げに傾いていることが理由の一つです。アメリカドル、ポンドなど利上げが続々と発表されているのですが、その一方で日本円は日本銀行が円安誘導しているため、全くもって買われないのです。さらにユーロやオーストラリアドルも利上げの可能性が出てきており、これからますます日本円が売られていく可能性すらあります。今の日本円売りは偶然起こっている話ではなく、必然の現象です。USD/JPYが130円の時代を迎える可能性があります。
アメリカドル
FRBは国内の物価上昇に対応するため利上げに動き、さらなる利上げの働きも起きています。これは現在アメリカ国内において、インフレが進んでおり、その対策としての利上げが継続的に続くと見込まれています。実際のところFRB関係者は追加利上げの可能性をすでに仄めかしており、年内にさらなる利上げが起こると思われます。金融引き締めを進めるとの見方から国債利回りは急上昇しており、これもアメリカドル買いの要因になっているのです。そしてロシアのウクライナ侵略もアメリカドル買いを促しています。有事の際は基軸通貨であるアメリカドル買いが起こるという鉄則の通り、アメリカドル買いが継続的に続いています。それを証明するようにUSD/JPYでは1年以上買いが進み、EUR/USDでは1年以上暴落を続けています。
イギリスポンド
イギリスの中央銀行は2022年2月に政策金利を0.25ポイント引き上げました。さらに債券購入による量的緩和策についても、英国債と投資適格社債の残高縮小に着手することを決定しました。イギリスでもインフレが起こっており、これに対する対処策として利上げをしました。イギリスではエネルギー価格高騰や新型コロナウイルスに関する規制緩和に伴う需要増、原材料・労働者不足を要因にインフレが止まらない状況です。イングランド銀行は、その後もインフレは続くと見込んでおり、さらなる利上げを検討しているのです。
ユーロ
欧州中央銀行は利上げを2023年に見送り。これによって相場は一時ユーロ売りに一気に傾いたのですが、どうやら、ECBの幹部によると前倒しして夏ごろにユーロの利上げを行う可能性を示唆しています。ユーロの場合はウクライナ侵攻の影響をとても強く受けているため、今利上げをするとリスクを伴うことから先送りにしたのです。しかしいずれにしても利上げは確実に行われる見通しで、いつ実行されるかというレベルの話です。
オーストラリアドル
オーストラリアドルも利上げの可能性があります。豪州準備銀行は2022年4月の理事会で従来の慎重姿勢を転換し、利上げ開始の検討を示唆しました。物価や賃金、実質GDPが妥当な結果となれば、6月にも利上げを開始する可能性が高いとみられています。政策金利を0.10%で据え置く決定を下してはいるものの、利上げに対する期待がとても高まっており、支持する声がとても多いです。石油価格上昇などからインフレ率は向こう数四半期で一段の上昇が見込まれ、引き締め策として利上げが行われる可能性が高まっています。
日本円
上記のように各国が利上げをしている潮流にあるなか、日本だけは完全に真逆の動きになっています。日本銀行は金利抑制政策を頑なに維持しており、円安の流れは止まる見込みが一切ありません。円安も円高もそれぞれメリットとデメリットがありますが、急激な相場変動は確実に経済に大きなダメージを与える結果にしかなりません。為替の歴史を見ても、たった1か月で12円も変動したことは数回しか起こっておらず、明らかな異常現象です。鈴木俊一財務相は「急激に変動することは望ましくない」と発言しましたが、注視するといういままでの姿勢を崩さず、これからも円安に傾くことは間違いないでしょう。この異常な円安は日本銀行と自民党による人災と言えます。
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